永井荷風の俳句

子を持たぬ身のつれづれや松の内     荷風

(こをもたぬ みのつれずれや まつのうち

色町や真昼しづかに猫の恋     荷風

(いろまちや まひるしずかに ねこのこい

まだ咲かぬ梅を眺めて一人かな     荷風

(まださかぬ うめをながめて ひとりかな)

永き日やつばたれ下る古帽子     荷風

ながきひや つばたれさがる ふるぼうし)

葉ざくらや人に知られぬ昼遊び     荷風

はざくらや ひとにしらぬ ひるあそび)

紫陽花や身を持ちくづす庵の主     荷風

あじさいくらや みおもちくずす いおのぬし)

物干に富士やをがまむ北斎忌     荷風

(ものほしに ふじやおがまん ほくさいき

芍薬やつくゑの上の紅楼夢     荷風

しゃくやくや つくえのうえの こうろうむ)

夕河岸の鯵売る声や雨あがり     荷風

(ゆうがしの あじうるこえや あめあがり)

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