夏目漱石の俳句

一人居や思ふ事なき三ケ日     漱石

(ひとりいや おもうことなき さんがにち

人に死し鶴に生れて冴え返る     漱石

(ひとにしし つるにうまれて さえかえる

菜の花の中に小川のうねりかな     漱石

なのはなの なかにおがわの うねりかな)

菫程な小さき人に生れたし     漱石

すみれほどな ちいさきひとに うまれたし)

腸に春滴るや粥の味     漱石

(はらわたに はるのしたたるや かゆのあじ)

永き日や欠伸うつして別れ行く     漱石

ながきひや あくびうつして わかれゆく)

春の夜や妻に教はる荻江節     漱石

はるのよや つまにおそわる おぎえぶし)

帰ろふと泣かずに笑へ時鳥     漱石

(かえろうと なかずにわらえ ほととぎす

鳴くならば満月になけほととぎす     漱石

(なくならば まんげつになけ ほととぎす

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